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Maria ~Requiem【気象系BL】

第14章 1 Corinthians 13:4



こんなとき……
どう言葉をかけたらいいんだろう

あなたのすべてを抱きしめて
どう言葉をかけたら
あなたは楽になれるんだろう

どんなに医者になる勉強をしても
答えは、みつからない気がした


空になったマグカップを持って立ち上がった。
まだ水を出したまま立ち尽くしている智の後ろから、マグカップをシンクに置いた。

一瞬、智は俺のこと見たけど、目が合ったらすぐに顔を逸らした。

茶碗を洗おうとスポンジを取った智の身体に腕を回して、後ろからぎゅっと抱きしめた。

「智も凄いよ…」
「何も凄くなんか」
「生きてるだけで、凄いんだ」
「……」

ひとに罪を被せられた智
ひとの命を奪う智

どちらも智で、どちらからも一生逃げることはできない。

だったら少しでも楽に生きられる方法を、一緒に探していきたい。

たくさんたくさん傷ついてきたこの人を少しでも楽に。

「智…」

茶碗を洗う水音が聞こえてきた。

「抱いて」

答えはなかった。


でもいいんだ、智。
俺があなたのこと、抱いてあげる。

あなたが泣いて嫌がっても、抱いてあげる。


潤の前じゃかっこつけてみたけど……

俺はもう、あなたなしの世界は考えられない。
どんなに恵まれた生活してても、多分満たされない。


期限付きの関係だとしても…
きっと俺は一生、あなたを想うだろう。


あなたが俺に笑ってくれたら嬉しい
あなたが俺をみつめてくれたら嬉しい
あなたが俺に触れてくれたら嬉しい

あなたの泣き顔を俺に見せてくれることが嬉しい

あなたの存在がただ在ることが嬉しい
あなたがいなければ俺の存在など無に等しい


これが初恋ってものなのか。
それともまた別の違うものなのか。


このときの俺はにはまだわかっていなかった。


【第14章 1 Corinthians 13:4 END】
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