第2章 Matthew 6:8
こいつ、俺の心でも読めるのか…
独りであながち間違っていない回答をしながら部屋を出ていった。
部屋の中が、急に薄ら寒くなった気がする。
手先を動かそうとしたが、無理だった。
息が1000メートル走でもしたみたいに上がってる。
酸素が足りなくて、口を大きく開けて見ても楽にはならなかった。
喉が痛い。
関節も痛い。
全身が燃えているみたいにしんどかった。
「うう……」
最近の罰が一遍に当たったみたいだ。
こんなに苦しいの、久しぶりだ。
「さあ、これで少しは楽になるかな……」
いつの間に戻ってきたのか、男の声がした。
額の上に冷たいものが載せられた。
男の手じゃなかった。
それよりももっと冷たい。
「……ねえ、まだ起きてる?」
その声は虚空に話しかけているようで。
俺に話しかけているのかわからなくて返事もできなかった。
そっと俺の頬に指が触れた。
「…大丈夫だよ…ここは安全だから…」
その指は冷たくて。
震えていた。
「……いで……」
声が掠れてよく聞こえない。
なんて、言ったんだ…?
「…お願い…死なないで…」
ああ
やっぱり、そうなのか
あんた…
マリアだ
俺の、マリアだったんだ
【第2章 Matthew 6:8 END】