第13章 Ephesians4:25
「はぁ~…よかったぁ…これで春休み入れるよ…」
試験の結果がわかった日、俺に結果を知らせた翔は脱力してベッドに突っ伏した。
「よかったな」
突っ伏した頭を撫でてやると、嬉しそうに顔を上げた。
「うん…春休みは、実習もないしほんと良かったよ…」
「それなのに、すまん。どっか旅行とか行きたかったろ…?」
「いいんだよ。それよりさ、うちの病院から点滴盗んできた」
そういっていたずらっぽく笑うと、通学に使ってるリュックから点滴の袋を出した。
「おお…おまえ、大丈夫なのか?」
「大丈夫。違う病棟から盗んできたから。これでだいぶ元気にはなるからね」
ベッドの傍においてある点滴スタンドに袋をかけた。
「ちょっと準備してくるから待ってて」
「ああ…」
3月も中旬になった。
翔は無事に試験をストレートでクリアして、春休みに入った。
2月からずっと週一で試験が続いていたから、やっと一息つけるようだった。
「智、準備できたよ」
トレーにいろんな物を載せて、翔が寝室に戻ってきた。
「腕、出して。消毒するから」
「ああ…」
俺はと言えば…
傷は回復したが、体力の回復が遅れていた。
何度も謎の発熱を繰り返している。
頭痛もたまにあるし、だるくて指一本動かせない日もある有様だった。
だいぶ良くはなってきたんだが、今日はまた朝から熱を出してしまった。
俺を刺した刃物のせいだろうか。
詳しいことはわからないが、なんとか言う感染症の後遺症にも似てると翔は言っていた。