第11章 What a Friend We Have in Jesus
実際ここんとこ夜眠れていない。
昼間、翔が学校に行ってる間に、うつらうつらすることはできるけど寝不足なのは事実だ。
「一緒に寝てくれよ」
ちょっとだけしょんぼりとした顔を作って言ってやったら、呆気にとられた顔をして俺の顔を見てる。
「…うっそだろ…?」
「嘘じゃない。頼む、良く眠れないんだ」
「あ…ごめん。嘘だろっていうのは、智が眠れないって言ったことに対してじゃなくて…ああ、もうっ…」
翔が泣き落としに弱いのはわかってる。
「しょうがないなあ…もう、そんな顔するんだもん…」
もともとクイーンサイズとかいうサイズのでかいベッドだから、男二人寝たとこで全然狭くない。
「もうちょっとそっち行ってよ」
「ん」
「だめだな…枕、持ってくる…」
「ん」
腕枕してやろうと腕を出したら、起き上がってべしっと叩かれた。
「骨格がゆがむだろ!せっかくそんな綺麗な肩の骨してるんだから!俺なんかこーんな撫でが…うわあっ」
もう、いい。
「さ…智っ…」
強引に抱き寄せた。
「うるせえな。寝ろよ」
ぎゅうっと翔を抱きしめて、しばらく離してやらない。
「なっ…なんだよっいきなり!?」
しばらく一人でモゾモゾしてたけど、寝たふりしてたら諦めたようだった。
細い息を吐き出して、コテンと俺の腕に頭を乗せた。
俺の腕の中に、まだ少年とも言える細い体はすっぽりと収まった。
「…あったかい…」
翔の声が聞こえて、腕が俺の身体を抱き寄せた。
「智…あったかいね…」
その瞬間、翔の体温が伝わってきて。
このぬくもりが宝物みたいに思えた。
ああ…翔…
あったかいな
人と一緒に寝るって、こんなに温かいんだな
俺、知らなかった
翔がせっかく買ったソファベッドは、この日からただのソファになった。
【What a Friend We Have in Jesus END】