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ぬいぐるみ【オリジナル】

第1章 起


昔々あるところに、モルモット、と言う名前の可愛いモルモットのぬいぐるみがおりました。

ある日のこと。モルモットはいつも通りに動物園のお店屋さんの陳列棚に、ともだちと一緒に並んでおりました。
お客さんがこちらをみては通り過ぎたり、あるいはともだちを連れて行ったりする様子を眺めていたときのことです。ともだちが、モルモットにひそひそ声で話しかけてきました。
ともだちは、こう言いました。

“ねえ、モルモット。ぼくたちはもう長い間ここにいるでちう。そろそろお店屋さんから別のところに移されても良いころだと思うでちう”

“確かにそれはぼくも思うでちう。でもどこにいくでちう?新しいところは怖くないかでちう?ここから見るだけでも、ここの外には檻の中の暴れ回るアメリカバイソン、四六時中ウロウロしているベンガルトラ……怖くない訳ないでちう。こわいでちう”

“でも、それでもぼくたちはどこかにいくべきでちう。ここはぼくたちには似合わないとぼくは思うでちう。ぼくはいままでモルモットに言わなかったけど、実はぼくにも他のともだちみんなにも本当の名前があるんでちう。だからぼくたちを本当の名前で呼んでくれる人のところに行くのが一番だと思うのでちう”

このともだちの言う事を聞き終わったモルモットはこう思ったのです。

“それはともだちを連れていくにんげんたちのことでちう。しかしにんげんもいいやつばかりではないようでちう……”

果たしてモルモットはどんなにんげんにめぐり合うのでしょうか。

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