第5章 𝕆𝕕𝕠𝕟𝕥𝕠𝕘𝕝𝕠𝕤𝕤𝕦𝕞
秋月 がオレを避け始めて
爆豪とよく絡むようになったときは
胸の奥が真っ黒に塗り潰されるような感覚だった
ヒリヒリするような痛みが全身を襲い、自分の感情が酷く醜かったと思う
原因が分からねぇ感情に無性に腹が立った
オレと話すときに向ける笑顔を彼女が他の奴に振りまくと胸がえぐれるように痛んだ
「勝己くんはそんな人じゃない!!!」
爆豪のために野次に立ち向かい
爆豪を庇うために自分は身代わりに徹しようとする 秋月 がどうしても気に食わねぇと思った
オレだけに笑いかけて欲しい
他の奴なんて放っておけばいいだろ
気付いたら彼女の手を引きその場から連れ出していた
申し訳ねぇと思いつつも、こうして触れられるのもオレだけだったらいいと考えてた
アイツの思い通りにはさせねぇ
お母さんを苦しめたアイツを許さねぇ
消えることは愚か薄れることもねぇと思ってた
オレだけが楽になることも忘れることも許されねぇとも
そう、思ってた
「轟くんの傍にいると温かくて安心する…守らせてくれって言ってくれたけどやっぱりいやだ!氷が轟くんの炎じゃ溶かせないなら、私の光で溶かす!
…わたしに…見せてくれないかな」
その言葉に大きく目を見張り、心をどれだけ動かされたか分からない
どれも同じに見えていた
だけど 秋月 だけは違ってた
視界に収まりきらないほど輝きを放っていて、手を伸ばしても届かねぇんじゃないかって思っちまうほど遠い存在に感じた
「 …っ私にとって…轟くんはヒーローだから!!! 」
喉が枯れちまうほど叫ぶ彼女を見て胸の奥底から何かが込み上げてくる
それは違う
逆だ
オレにとって 秋月 がヒーローなんだ