第4章 𝕂𝕒𝕝𝕒𝕟𝕔𝕙𝕠𝕖 𝕦𝕟𝕚𝕗𝕝𝕠𝕣𝕒
薄黒い灰色の煙が立ち上り、そこから生徒たちが体を引き道を作っていく。道から現れたのは紛れもなく勝己くんだった
機嫌が悪そうなのは表情を見れば分かる
「オレの前に立つんじゃねェ!モブ共がッ
次立ち塞がった奴ァ容赦なくフっ飛ばすぞ」
(((うわぁーーー………火種)))
私達3人は呆気にとられたままその様子を目で追っていた
でも耳に飛び込んできた声に体を揺らす
「アイツ本当にヒーロー志望かよ、ひでぇな」
「噂ではヴィラン側の廻者かもしんねぇだと」
「なんかちょっと前にここの女子生徒泣かしてイジメてたらしいぜ、とんだゲス野郎だな」
勝己くんに聞こえる、そんな大きい声で言わないで
きっと聞こえてるけど彼は顔を渋らせるだけで歩みを止めない
言われていい気なんてしてるわけじゃない、筈なのに
悔しくて唇がはち切れるくらい強く噛みしめる
「あ、たぶんあの子だよ、あのカワイイ子を階段から突き落としたとかなんとか」
隠しきれてない陰口を言っている人が私を指さしながら言う
…女の子をイジメてた…って…
そのとき自分の中で何かが破裂して溢れた気がする
『勝己くんはそんな人じゃない!!!』
私の声に廊下で屯していた人たちの視線が一斉に集まる
上鳴くんが私の肩を支えてくれたように
私は勝己くんを一人で行かせたりなんてしたくない
『かつ…爆豪勝己くんは少し怖い人かもしれないけど
たった一人の女の子のために危険を顧みず命を張って戦える優しい人なんです!!』
『ヒーロー志望だから、なんて価値観で下らないレッテル張らないで!』
威嚇するように精一杯彼らに目線で訴えかける。しーんと静まり返った空間で、やがて糸が切れたように一人の男の人が痺れを切らす
「…ヒーロー科の奴はどいつもこいつも
自分たちが特別だって思ってんなぁ!うざいんだよ!」
『特別とかそういうことじゃなくてっ』
「やめとけや、イカれた連中に何言ってもムダだろうがッ」
勝己くんがスタスタ歩いて私の前に庇うように立ち、集団を強く睨む