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花水木が咲く頃に ꕥヒロアカꕥ

第4章 𝕂𝕒𝕝𝕒𝕟𝕔𝕙𝕠𝕖 𝕦𝕟𝕚𝕗𝕝𝕠𝕣𝕒





教室までの誰もいない廊下をゆっくり進んでいく
その間私は足元に目線を落とし、思いに沈む


最初に思い浮かんだのは啓悟くんのことだった
雄英に来てからはや一ヶ月

最初は簡単なラインを送って連絡を取り合っていた
(やたら男子のことばかり聞いてくるし)
彼からの返信は思いの外早くて、遅くても1時間以内には受信されていた…最速の名は伊達じゃない!なんて


でも、決して電話はしないことに決めていた
声を聞いてしまえば弱い自分が覗いてきそうで恐れてた
轟くんに何度も助けられ、だからこそ私は啓悟くんに守られていた自分を後ろめたかった



一息ついて
次に思い浮かんだ顔は勝己くんだった
それも不機嫌そうに目を吊り上げてる


勝己くんとの記憶……なんで忘れてたんだろ
あの出来事は少なくとも今の私に影響してると思うのに…

思い出したから更に霧が濃くなったような気がして
まだ…何かある?


てか勝己くん、私がナヨナヨしてるって言ってたけど昔はどんな感じだったんだろ
今度聞いてみよっ

『…やっぱり強くならなきゃ』


A組の教室に行くための角を曲がった時、前からやってきた人物とぶつかりそうになる。私は避けるには間に合わないと思い、咄嗟に身構えるがその人はスッとまるで私がやってくるのを分かってたように避けてみせた

私はポカーンと口を半開きにしてると、同じ制服を身に纏ったその人は言う


「ごめん、ボクの不注意だったよ」

『え、ううん!私こそ…いや私が前見てなかったからっ』

反射的に喉元から言葉が出てきて、胸の前で両手を振る
すると彼は口元に手を置き、クスクスと肩を揺らす


「………なるほどね、確かに魅力的だな」


独り言のように呟かれたその声に私は首を捻らせる
名前も知らない彼はニッコリ微笑み、私の横を通り抜ける


「それじゃあね、 秋月 さん」

私はペコリと頭を下げ、彼の後ろ姿を見えなくなるまで見送った
…いま…私の名前呼んでた?

なんで知ってるんだろう
というかまだ学校に残ってる人がいたんだ

少しの間考えていたけど、やがて諦めて教室へと足を戻す

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