第8章 𝕊𝕦𝕟𝕗𝕝𝕠𝕨𝕖𝕣
《 ひかりside》
全部初めての感覚で、轟くんの声が遠い…
心は感極まってて満たされて、幸福で…快楽の海に飛び込んだ気分。
心の底でつっかえてる気持ちが
いまなら本人に伝えられる気がした
私、轟くんが
「あれ? ひかりちゃんおらん…
どこ行ったんだろ?もうすぐ出番なのに」
「ボク達と入れ違いになったのかもしれない
とりあえず戻ってみよう…」
…ボヤァとした意識の中でも声の主はハッキリとわかった
緑谷くんと、お茶子ちゃん…!!
声がどんどん近付いてくるのが分かる。轟くんも気づいたらしく、拘束されていた手が解かれ、改めてこの状況のまずさに思考が停止しそうになる。
すると轟くんの顔が寄ってきて首に顔を埋める。
『!?』
思考は冷静になったけどまだ体は熱を帯びていたから、足をモジモジさせながらも、これ以上熱に溺れぬよう彼の肩に手を置き距離を取ろうとする
『…だれかにっ見られたら…困るよ…!』
「…別に誰に見られても構わねぇ… 秋月 続きがしたい…ダメか…?」
さっきまで激しく乱れていた轟くんはもういなくて、そこには懇願する甘えた子犬だけ
…こんなの断れるほうがすごいよ…
それに私だって…最後までしたい///
『…せめて…体育祭が終わったら…
じゃ…ダメ、かな…?』
絞り出すように言葉を紡ぐ。本当はまだモヤモヤした部分があって、それを解決したかった。
…けどもう情けない自分は晒したくないし、轟くんが求めてくれるならもうなんでもいい
『…轟くんに、初めて、貰ってほしいの』
自分で言っておきながら顔中に熱が篭りのぼせてしまいそうだった。
『…!』
私を囲うように両手とも壁に手をつき、丁寧な口づけをする。離れたタイミングで轟くんは言う
「…初めてだけじゃ…足りねぇ
この先もずっと、オレだけがいい」
胸がキュンッとなってときめく
私はゆっくりと頷き、もう一度彼とキスを交わしたあと乱れた服を直す。今気づいたらチアガールの格好のままで、轟くんが「 秋月 が着るとエロいな」などと言うから、別れて急いで控え室で体操着に着替える
「あれ! ひかりちゃんいたんだ!」
『えっと、外で準備運動してたの!』
嘘にチクリと胸が痛む。熱を失った体はブルっと身震いして罪悪感が顔を覗かせていた