第14章 彼女の生きる理由
この日の真白は中庭で落ち葉の掃除をしていた
宿儺は呪術師の仕事で今日はいない
(はぁ……段々寒くなってきたわ)
「あ、買い物行かないと……」
真白は屋敷にある食材を今日の朝食である程度使い切ってしまったのを思い出した
(そういえば、何で宿儺様はこんなに私に対して優しくしているの?見ず知らずの私が本来なら着物を買ってもらえる身分でも無いのに……私を嫁にするらしいけどそれは別に私でなくてもいいのでは……)
「もし宿儺様に想い人が出来たら私は追い出されるのかな」
(そもそも私が生きる理由は何処にもない……)
真白は髪飾りを少し触れた
あれから2週間、特別生活が変わったこともなく普段通りに過ごしていた
不意に浮かんだ疑問を抱きながら真白は買い物の準備をする
「……」
真白は都ヘと向かった
ざわざわと人の声が聞こえてくる
歩いていると突然、女の人の叫び声が聞こえた
“キャー坊や!!”
(え、何事?)
真白は急いで声がした方向へ行った
そこには古い橋があり、その橋から男の子が落ちそうになっていたところだ
男の子は橋を支える棒らしきものに捕捕まって何とか落ちないようにしている状態だった
近くには男の子の母親らしき人が居て、どうやら叫び声の発生源は母親からのようだ