第8章 奪還
「ちょっとヘマちゃってね、そして真白が幽閉されたのを知ったわ、今あの子はかなり危険な状態よ、なんせ私の術が反応するほどに」
「術?お前そんなものをかけていたのか……」
「あの子が命の危険になったときにいつでも駆けつけられるようにしたの、あなたもあの場にいた筈よ」
「忘れたな」
「都合のいい頭ね」
「俺は行かんぞ、そんな面倒くさいこと」
「何、あの人との“約束”を忘れたとは言わせないわよ」
「……」
「今の私だと力が戻ってきていない、そもそも私は五条家が嫌いだしあそこには特級もいた筈よ、あなたなら何とか出来ると思うわ」
「……」
「ね、お願い……ついでに真白を娶っちゃえば?童貞を卒業出来る機会よ」
「祓うぞ」
宿儺は殺気立つ
「あなたは言葉ではそう言うけど結局祓わない、こんなやり取りは何回かした記憶があるわ」
環は懐かしむように言った
「あなたもそろそろ身を固めたほうがいいわ、独身でしょ、確か歳は……29?くらいかしら?」
「お前に言われる筋合いはない」
「……でもあの人から真白をお願いされたでしょ?それに真白から求婚されたじゃない」
「昔の話だ」
「もうッ頑固ね、真白が今にも死にかけているのに」
環はむすっとした顔になる
「はぁ……仕方ない、行ってやるからお前はここで待ってろ」
「ありがとうね、宿儺」
「ふんっ」