第29章 最恐の大異変 〜参〜
「体には気をつけてね、二人共」
「私達より長生きしてくださいね」
「うん」
「嗚呼」
真白と鈴音はふたりの言葉に頷く
「ここにある鳥居を抜けたら決して後ろを向かないで、帰れなくなるから」
「ありがとうね、短い時間だったけどお世話になったわ」
「行こう、真白」
真白と鈴音は迷子にならないように手を繋ぎ、鳥居を潜った
涼葉と玲花はふたりを見送った
不意に玲花は後ろを向いた
そこには着物を着た男の子がいた
「八岐の大蛇……」
玲花は呟くように言うと涼葉が玲花の言葉を聞いて後ろに視線を向けた
八岐の大蛇と思わしき男の子は寂しそうな表情をしていた
「大丈夫よ、貴方はもうひとりじゃない」
涼葉は八岐の大蛇に近付き、目線を合わせるようにしゃがんだ
「私達がいるもの」
玲花も八岐の大蛇に近付いき、にこりと微笑んだ
男の子は嬉しそうな顔をしていた