第26章 女の陰陽師
「おい、あの噂を知っているか?」
宮中を歩いていると男達が話していた
その話の内容を偶然通りかかった源清雅は耳を傾けた
彼は醍醐天皇の孫でそれなりに位が高い人物だった
「知ってる知ってる……最近、羅生門近くで鬼が出るんだろう?」
「どうにかして欲しいものだ」
「済まない、その話、詳しく聞かせてほしい」
聞いていた清雅はどうにかしようと思い、男達の話を詳しく聞こうとした
「おお、清雅……実はな__」
男達の話はこうだ
1、2ヶ月程前、鬼が出るという噂があったらしい
話を聞いたひとりの男が噂を確かめようとして結果的には事実だと判明した
その男は鬼に襲われ、重傷を負ったとのことだ
「死者が出てもおかしくない……そうだ清雅、お前美桜真白という人物を知っているか?」
「はい、陰陽局に入らず、安倍晴明同等の力を持つ有名な陰陽師で呪術師の方ですよね?」
美桜真白は陰陽師界では有名だが呪術師界ではさほど有名ではないらしい
「そいつに頼んでこい」
「ええ……」
清雅は困惑した
何故なら美桜真白という人物は女性であり、女性と話すのが苦手な清雅にとっては頭を悩ませる話であった
「……分かりました」