第1章 ドズルさんの場合
「ねぇねぇ、起きて?」
🦍「ん……?」
🦍「あれ、ここはどこだ……?」
🦍「確か僕は、自分の部屋で寝てたはずなんだけど……」
「ばぁっ!」
🦍「うわぁ、何なに?!」
🦍「いきなり顔が目の前に現れて……」
バチン!
🦍「え、停電……?」
🦍「電気が消えたんだけど……」
🦍「とりあえず電気点けないと……」
パツン……。
🦍「あ、電気が勝手に点いた……」
「えへへ、びっくりした?」
🦍「わ、そんなところに誰かいたのか」
🦍「君は……誰?」
「あたしは〜、幽霊!」
🦍「幽霊……?」
「うん!」
「ね、びっくりした?」
🦍「びっくりしたよ……」
🦍「いきなり顔が目の前に出てくるんだから……」
「あれ、あたしの顔だよ!」
🦍「そうだったんだ……?」
🦍「でも今、君かわいい顔してるけどね」
「え、かわいいの?」
🦍「うん、かわいいよ」
「そっかぁ」
「びっくり作戦失敗かぁ」
🦍「失敗じゃないよ。びっくりしたんだし」
「そお?」
🦍「うん、そうだよ」
「ならよかった!」
「じゃあまたびっくりさせに来るね!」
🦍「え、また来るの?!」
「うん! 来年くらいに!」
🦍「来年って、どこかの肝試しじゃないんだから……」
「じゃあまたね、おにーさん!」
🦍「あ、ちょっと待って!」
「え、なぁに?」
🦍「今これくらいしかないけど」
🦍「これあげるよ」
「これなぁに?」
🦍「クッキーだよ」
🦍「これでいつか成仏してね」
「え……」
🦍「どうしたの?」
「ううん、なんでもない」
「また来年も、なんかちょーだいね!」
🦍「はっはっはっ。その時はブタメンでも用意しとくよ」
「ブタメンだかなんだかよく分かんないけど」
「楽しみにしてる!」
🦍「うん、ばいばい」
「ばいばーい」
ふわ……。
🦍「わ、いきなり消えた……」
🦍「あの女の子、本当に幽霊だったんだ……」
幽霊にも優しいドズルさんでした☆