第2章 余命宣告
目を覚ました時、八雲の周りには深い闇が広がっていた。
生き物の気配のない暗闇で一人立ち尽くしていた。
「おい。小娘。」
頭上から聞こえる声に顔を上げると、今しがた戦い5秒と言わず、一瞬で自分を気絶させた宿儺と対面した。
「成程。ここは君の生得領域かな?呪いの王の生得領域にお招き頂けるなんて光栄だねぇー」
目を細め、おちゃらけて言う八雲に宿儺は顔を顰めた。八雲に対する宿儺の第一印象は''気色悪い''だった。
にまにまと顔に貼り付けたような笑顔で怯えず、助けを懇願するでもなくゆるゆると近づいてくる八雲は異様でしかない。
「なぜ俺との戦闘を望んだ?」
「史上最強なんて知っとかないと損でしょ?」
当たり前じゃないかと笑う八雲。
「死にたいのか?貴様。」
「さあねぇ。どっちでもないよ。ていうか、君こそなんで私を殺さなかったのかな?」
宿儺なの打撃を受けた時、八雲は完全に自分の死を覚悟した。しかし、八雲はまだ生きている。こうして呪いの王と対面し会話している。
「理由は無い。だが、今殺すのは勿体無いと思ったんでな。全力ではなかっただろう?」
宿儺はあの一瞬で八雲がなんとか当てた打撃を感じていた。
「へぇー。んじゃいつ殺すのかな?」
「3ヶ月やろう。3ヶ月で気絶しないくらいにはなるだろう。」
「私、あと1年しか生きれないかもしれないのに、まだ縮めるの?!」
「知らぬ。いいな。小娘。3ヶ月だ。」
宿儺のその言葉を合図に、八雲の視界がぐにゃりと歪んだ。