第7章 気まぐれ
「…っん…」
何度も角度を変えてキスをされ、やっと離れたと思い目を開くと宿儺が自分に向けている熱烈な視線と自分の視線がぶつかり、目をそらす事が出来なくなった。
唇を親指でなぞり、急に親指が口に差し込まれる。どうしたらいいか分からず瞬きを繰り返していると、軽く下に向かって舌が押される。
それでも分からず、眉間に皺を寄せ寄せるとため息をつかれた。
「口を開けて、舌を出せ。」
流石に彼氏いない歴=年齢の私でも何をするかなんて容易に想像出来た。抵抗して舌を引っこ抜かれるのは嫌だったので、控えめに口を開いておずおずと舌を出した。
また、宿儺の顔が近付いてくる。至近距離で目が会う前に慌てて目を閉じた。
舌先から絡め取るように侵入してきた舌は、歯列をなぞり、上口蓋を刺激する。
ぞわぞわした感覚が背筋を走った。
なぜ宿儺は私にこんな事をするのか。そりゃあ1000年も封印されていたら性欲だって溜まるだろう。呪いに性欲があるのかは知らないが。あれだけ小娘だとか間抜けだとか言っておいて。
___おもちゃか私は。
そこまで考えたところで、スカートに侵入する手に気がついて思い切り抵抗した。やっとの事でても離れ、唇も離れた。肩で息をする私とは違い、全く息を上げず不敵な笑みを浮かべる宿儺を睨みつけた。
「ここどこだと思ってんの?屋外だからね。」
「そうか。室内ならば良いと言うことだな。」
イラついた。そう言う意味では無い。何を言っても通じない気がしたので、海を出て、スニーカーを手に来た時と同じようにコンクリートの階段を登った。
砂だらけの足でスニーカーを履くわけにも行かずどうしたものかと考えていると、いつの間に追いついたのか宿儺も裸足で後ろに立っていた。
宿儺は何も言わずに虎杖君のスニーカーを私に差し出すと、私をふわりと抱き上げた。
そこからはあっという間だった。屋根をつたい、木をつたい高専に着くまでは10分弱と言ったところだろう。
私を医務室の前で下ろすと宿儺はいなくなってしまった。