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拝啓愛する皆へ。私の命は3ヶ月の模様です。

第7章 気まぐれ


体を起こすと、硝子さんがいた。宿儺が運んできてくれたのだろうか。いや、虎杖君か…。



「大丈夫か?」



硝子さんは立ち上がるとベッドサイドまで歩いてくると、私の顔を覗き込んだ。濃い隈のせいで私よりも具合が悪いように見える。




「本当に眠ってるだけだったんだな。ここに連れてきたのは虎杖だよ。気が付いたら八雲を抱えて歩いてたって。」




じゃあ、本当に宿儺は宿儺の意思で私を抱き上げて、運んで、その上腕の中で眠る許可まで出したの?




呪いの王の気まぐれなんか怖いったらありゃしないわ。いつ殺されるかも分からないのに。てか、明日死んでもおかしくないよね。





「硝子さん。ありがとう。」




「急にどうした?」





会うのはきっと最後になるから。最後くらいいいよね。そう思って、横に立つ硝子さんに抱きついた。




「良くやったよ。八雲。」




「ん?知ってたの?」





どうやらかんちゃんの事は皆知っていたらしい。私が祓ったって事も。




硝子さんに頭を撫でられて、我慢していた涙がこぼれ落ちそうになった。泣かないように気持ちを誤魔化して硝子さんと話していると扉が開いて五条先生が入ってきた。




「あれ?お邪魔だった?」



「邪魔だよ。早く帰れ五条。」




硝子さんがそう言うと、五条先生は大して落ち込んでも無い癖に肩をあからさまに落としてため息をついた。





「せーっかく、落ち込んでいるであろう八雲の為にお土産持ってきたのに。酷いなぁ」





五条先生の手元を見てみるとちょっと大きめのドーナツの箱を2つ持っていた。






「お土産ってドーナツ?!」





期待を込めた目で先生を見つめると、サングラスの下でにこりと笑ってそうだよと言った。





ベッドから降りて先生の所まで行くと箱を手渡された。




箱を開けると甘い匂いが鼻を掠め、中に綺麗に並べられたドーナツがキラキラして見えた。





「どれにしようかな…。」





いろんな種類のドーナツに視線を行ったり来たりさせていると、もう既にドーナツを頬張っている五条先生が言った。




「ん?それ全部君の分だよ?」






「え?ほんと?」




満面の笑みで頷く五条先生に全力で感謝した。
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