第6章 カウントダウン
宿儺は私を抱き上げると歩き始めた。
「なんの覚悟も無しに祓ったのか。」
「違うよ。祓う寸前に覚悟は出来たんだよ。でも怖気付いたから、結局かんちゃんが手助けしてくれた。」
私は自分の両手を見た。
「刺した時の感覚まだ残ってる。気持ち悪い。君は嫌じゃないの?」
「くだらぬ。お前だって呪霊を祓う度に感じていることだろう。それと同じだ。」
そう言われればそうかもしれない。呪いに思い合うなんて概念は無いんだろうけど、敵同士なら当たり前だ。
心地よい揺れと疲れがどっと襲ってきて、瞼が重くなる。
「寝てもいい?」
「好きにしろ。」
目を閉じると、すぐに眠りについた。
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宿儺は自分の腕の中で眠る八雲に不思議な感覚を覚えていた。
初対面の時の気味の悪さとは打って変わって、か弱いただの小娘になって行った。
いつ殺されるかも分からない相手の腕の中ですやすやと眠る八雲。
「間抜けな顔だ。」