第6章 カウントダウン
それから2ヶ月。私は特に何もせずいつも通り任務をこなしていた。特に変わったことはしてない。
変わったことと言えば、かんちゃんがあまり家に帰ってこなくなった事くらいだ。
理由はきっと、毎日のようにこいつが来るから。
「八雲ちゃんおる?」
禪院直哉。
「また来たの?毎日毎日。うざいんですけど。」
我が物顔で椅子に座り足を組むこの男。大嫌いだ。
「ごちゃごちゃ五月蝿いねん。茶ぐらい出せや。ポンコツ」
ほんとむかつくこのクソ野郎。
「なんであんたなんかに茶出さなきゃならないの?招かれざる客って分かる?あんたそれ。招いてないから。どっか行ってくれるかな?」
直哉の目的は分からない。って言ってもどうせ暇潰しの嫌がらせしに来てるだけだろうけど。
かんちゃんは直哉が嫌いだから、直哉とは顔を合わせたがらない。私は分からないけど、嫌がらせされてたっていうのもあると思う。
なんでこの家の人間が別の家のクズが来ることで出ていかなきゃならないのよ。
「まじ、早く出てってよ。」
腕を組んで、椅子に座る直哉を睨みつけた。
「ほんまどうしようもない子やなぁ。男を立てられへんお前みたいな女どうしようもないわ。生きてる価値ないで?お嫁行けへんよ〜?」
ぺらぺらと減らず口ばかり叩いて。本当にこの人はどこまでいってもどうしようもない人間だ。
「今どき男尊女卑とか流行らんから。ちゃっちゃっと去ねや、カス。誰もお前の嫁になりたい奴なんかいーひんねん。もっかい自分のこと見直せや。」
直哉の真似をして関西弁で捲し立てると、浮かべていた笑みを消し、私を睨む目に鋭さが混じった。
「調子乗らんといた方がええで。出来損ない。お前一人じゃなんも出来ひんやろ。」
「困ったら助けてくれる人なんて私にはいっぱいいるから。直哉みたいに嫌われてない。」
嫌味たっぷりに言ってやると、直哉は鼻で笑った。
「みんなって誰やねん。神無も死んでるやろ。誰がお前を助けるねん。」
直哉の言葉が胸を抉ったようだった。
黙りこくる私を見て、直哉は不敵に笑った。
「ああそうか。戻ってきたんやったなぁ。呪霊として。ほんま恥ずかしいわぁ。術師のくせして呪霊になるとか。」