第3章 秘密
[Yakumo side]
「あんた体調大丈夫なの?」
始まってすぐ、走っている時に真衣ちゃんに聞かれた。
「大丈夫だよ。真衣ちゃん優しいねぇ」
「違うわよ。倒れられたら困るってだけよ。」
「んもぅ!ツンデレなんだからぁ!」
ふざけると、じろりと睨まれた。
睨んでるとこもかっわいい〜!!真衣ちゃんの限界オタクの如月八雲です!
「あまり、巫山戯るなよ。八雲。」
加茂先輩が静かに言った。
「もちろん。皆の足でまといにはならないよ。ていうか、みんなと行動はしないから安心して。」
東堂さんももういなくなっているし、別に私だって単独行動したっていいはずだ。
「じゃ!皆頑張ってね〜!」
地面を蹴り、木の枝に飛び乗り皆に手を振った。
「学長に言われたこと忘れんじゃないわよ!」
「へへへ〜。どうだろね〜」
皆に背を向けどんどん距離を離した。
虎杖君を殺すね…。そりゃ私だって殺して貰えたら残りの命が元通り1年に戻るんだけどさ、虎杖君殺したところで宿儺の指はいっぱいあるし、どうしたもんかねぇ。
それにあんなにいい子、器ってだけで殺すの可哀想だよ。これだから頭の固い老人は…。
まぁいいか。虎杖君さーがそ。
観察♪観察♪
「お。はっけ…んて…もうおっぱじめてんじゃん。」
虎杖君血だらけじゃんか。有り得んわあの脳筋。
「どんな女がタイプだ!」
うーわっ。まぁた聞いてるよ。てか、キモ。なんで泣いんてんのよ。
ていうか、皆殺る気満々じゃん。あーあ。東堂怒るよーこれ。邪魔しちゃってさ。しーらね。
京都校仲悪いもんなー。団体戦向かないよ〜。
私は安定感のある気を探して、仰向けに横になった。天気も良く、木漏れ日が気持ちいい。
うとうとしていると、真衣ちゃんの怒号が飛んできた。
「八雲!あんた何してんのよ!あんな事言っておいてサボってるだけじゃない!」
私は体を起こした。これ以上はぐうたらしていると本当にぶっ叩かれそうなので、空中に手を突っ込み、ずるりと呪具を引っ張り出した。
かんちゃんの術式で作った大鎌。きっと今日は興奮するような事ないだろうし、壊さないよね。これでいいや。
私はゲームの方に専念することにした。