第14章 高杉 私の想い
駆け落ちというのは、
こういう気分なのだろうか。
親が聞いたら泣いて止めるだろうな。
娘が国家を敵に回して、
好きな人についていきます。だなんて。
でも、幸か不幸か、
私に止める人はいない。
自分の出生さえ曖昧な私を拾ったのは彼だ。
捨てるも何も、
何も持っていない。
持っているのは、あなたへのこの心だけ。
「晋助がいてくれるならそれでいい。」
私は晋助の腰に腕を回し、
更に身体を寄せる。
「そうか。」
晋助はそっと私の頭を撫でて、
少し身体を引き、
同じ目線になり私の瞳を見つめる。
「お前にもう選択肢はやらねェ。
黙って俺と一緒に来い。」
私はその瞳を見つめたまま頷いた。
そして再び、
晋助の口元がニヤッと動くのを目にした。
(この時やっと理解できたのは、
私と彼の間に立つ者が私の敵なのだということ。)