第14章 高杉 私の想い
「久しぶりだなァ。アキ。」
香る度に懐かしいこの匂い。
いつもそうだ。
私の心がいろんな意味で落ち着いた頃に、
掻きまわしにやってくる。
彼は宇宙に飛び出し、
私は地球で平凡に暮らす。
それが彼と私の約束で、
彼と私の当たり前。
晋助の手が私の頬に触れ、
ゆっくりと首筋を撫で鎖骨に到達する。
「晋助、話があるの。」
「なんだ。」
段々と下りてきた手が腕を伝い、
晋助に抱き寄せられそうになったが、
胸を押し返してそれを拒否する。
晋助は
私の片手を掴み、
私は空いているもう片方の手で
つっぱり棒のように晋助の胸を押さえる。
傍から見たら不思議な状態だろう。