第9章 銀時 好きの二歩手前
「ったく、アキは男見る目ないからな」
銀ちゃんは私の隣に座って
頭にポンと手を乗せた。
あんまり悲しくないのは、
直接振られたわけじゃないからなのか、
大して好きじゃなかったからなのか、
この手のおかげなのか。
「私銀ちゃんみたいな人好きになればよかったなー」
「え、何で過去形なの?目の前に銀さんいますよー」
おーいと銀ちゃんは私の目の前で手をひらひらさせる。
「ニートは嫌!」
「ニートじゃないから!ちゃんと仕事してるから!
少年の仕事はジャンプを読んで夢を語り合うことだから!」
「夢で生活はできません!」
いつもこうやって、
ぎゃーぎゃーいって私の気を紛らわせてくれる。