第10章 【ヒミツの合図】
バサバサッて聞こえてきそうなくらい
長いまつ毛をゆっくりと持ち上げた海人が
めちゃくちゃエロい顔して超至近距離から
見つめてくる…。
一瞬で顔が火照ってきたのが自分でもわかって
「そっ…そうやけど?!」
なんて、ツッケンドンに返す。
「あはは!さすがにこんな顔はしてないよー!笑」
そう笑う海人はさっき俺の唇を奪った海人と
同じ海人とは思えんくらい無邪気で。
「けど、まぁ…そう見えたんなら
それは廉のせいだと思うけどね?」
「はっ?!お前責任転嫁すんなよ笑
それこそわけわからんわ!w」
ケラケラと笑った俺とは裏腹に
海人は…
「ねぇ…ほんとに?」
「…な、なによ、」
「ほんとに心当たりないの…?」
さっき空いたハズのパーソナルスペースが
秒で縮まったかと思えば俺の唇に置いた人差し指を
艶かしく首筋に滑らせてベストのボタンを外しては
はだけさせてきて…。
「…本番前、このスケスケのカッコで
楽屋ウロウロしてたの…誰だっけ笑」
クスクスと笑いながら透けた生地越しに俺の、を
摘んだり転がしたりして弄ってくるから…
「やっ…やめろって、かぃ…とっ」
「…またまたぁ笑」
「なんか…、廊下、気になる、し」
「…そーいうの、好きなクセに笑」
そんな会話しとったら
廊下から懐かしい声が近づいてきて…
「待って?!さすがにあかんって!」
「シッ!!」
海人が俺の唇を、キスで塞ぐ。
コンコンッ
「おーい、廉ー?海人ー?」
「…いないんじゃね?」
「ちょ―っとだけ、失礼しますよー?」
ガチャリとドアノブが捻られた音がする。
俺の唇は海人に塞がれたままで…。
「ほら、暗いもん。やっぱいないんじゃん!」
「おっかしいなぁ…海人の出番近かったから、
まだいると思ったけどなー?」
「廉はさ、秒で帰るで有名だったじゃん笑」
「たしかにたしかに笑」
なんか恥ずくて消しとっただけやったけど
マジで過去の俺、グッジョブ!苦笑
「海人はビーファのコとまだ遊んでんじゃね?」
「かもなぁ…ま、残念だけど仕方ないっすね!」
「残念!俺ら含めた音源使ってくれるとこがもう
海ちゃん!だったし、感動伝えたかったけど…!」
「しゃーないっすわ。それはまたの機会でね?」
紫耀たちの声がようやく遠のいて
息が苦しくなっとった俺は呼吸を求めて唇を離す。