第9章 【キミの好きな僕】
そんなことを考えながら
お互いの肌の隙間を埋めるように
舌を這わせてたら…
「あっ!!」
明らかに甘い声とは違う声を上げてきて。
「えっ…なに?」
「海人の!始まっとるやん!!」
なんて…そっちから誘ってきたくせに
跳ね起きてリビングに向かう
自由すぎる廉の後ろ姿に
あーぁ、たまんないなぁって…
顔が緩むのが止まんなくて。
「あー!ちょっと始まってもうてるやん!
…てか、何?この撮影シーンの海人!
気まず顔の練習の成果でとるやん笑」
「それはね、普段から培われてるから!
それをね、今だ!と思って出したの笑」
「ある意味、いざったんやな笑」
「まぁ、そう笑」
「マジで海人の気まず顔クッソおもろいよな笑
好き過ぎて、俺の夢にも出演済みやから笑」
「それはありがとう…でいいの?笑」
「いいに決まっとるやん!
それよりはよ来てって!」
廉の隣をバンバン叩きながらオレを呼ぶ。
「あっ!!あかんって、海人っ!髪!!
濡れとるやん!!」
「あっ、プールね?笑」
「プールも風呂も一緒やろ!」
自分だってシャワーシーンあったのなんか
そっちのけでオレのプールシーンに妬いてきて。
僕が好きなキミは…どうやらすごく
濡れた僕のことが好きらしい笑
「でもさ、これ…パーマかける前だから、ね?」
「うぅーーー」
唸りながらオレのフェイスクッションに
顔を埋めている。
「廉?隣に本物いるんだから
クッションじゃなくて、こっちに来なさいよ笑」
って誘うとタックルかってくらい強く抱きついて
くるから思わず、後ろに手をついて。
「みんなが見とるこのときの濡れ髪より
今の、この濡れ髪の方がかっこええしな!」
「うん笑、まだ廉しか知らないオレだね。」
廉の謎マウントに付き合いながら
廉の髪を撫でてやると
オレの胸に頭を擦り付けてくる
ねこみたいな廉に愛おしさが止まらなくて。
きっと明日も明後日も、
キミの好きな僕を探すんだろうなぁって
そんな愛情を感じながら抱きしめる。
「あっ!CM終わった!
海人もほら!一緒見よっ!」
またもオレの腕をすり抜ける
この勝手気ままな恋人に
これから先…
きっと、何度だって
恋をして生きていく。
そんな、幸せな予感。
💛Fin🩶