第9章 【キミの好きな僕】
オレは廉と違ってエゴサするから
ホントは知ってる。
パーマをかけてないオレの方が
好きなファンが多いってこと。
(勿論、廉と同じ好みのファンもいるみたいだけどね。)
「海人、伸びてきたなぁ。
…今度いつ、パーマかけんの?」
そうやって体を擦り寄せては
襟足にかかったオレの髪の毛をくるくるする廉。
「んー、ドラマの繋がりが大丈夫になったら、かな。」
「そんなん、まだ先やんかぁ…。」
口を尖らせてわかりやすく拗ねる。
オレの可愛い恋人。
「いまはこのオレを楽しんでよ。ちなみにだけど
いまのこの髪型、みんなからは人気だからね?笑」
……そんなん、知っとるし。
俺、エゴサはせんけど、カイサはするもん。
「でも髪型なんて、洋服みたいなもんじゃない?笑」
「服好きな俺によぉ言うな笑」
「あはは!でもそっか。だから廉は
オレの髪型にも拘りあんのかな?オレ、
あんまだからよくわかんない気持ちなのかも」
「…海人って
女の子が言うてほしいことに無断着で
なんか…知らんまに怒らせそうよな苦笑」
「んー…そんなこともないと思うけどね。」
自分から話題出したくせに
海人の、そういう過去…勝手に想像して
落ち込んでくんの、ほんとアホらし。って思うし、
重たくなりたくないからやめたい、のに…
そんなこと思っとったら、海人が俺のほっぺた
ツン…てしてきて。
「もー、すぐ拗ねないの笑」
なんて、そんなことはお見通しな海人に
ぎゅっとされる。
最近、オトコの魅力爆発中の俺の海人は
言ってほしいことは抜けとるくせに
こんなところはちゃんと、わかっとって…
こういうとこなんだよなぁって
海人の胸に顔を埋めて海人の匂いに包まれるんが
すっごい、心地よくて…。
仕事でしんどいことがあっても
ここが俺の帰る場所なんやなぁって安心する。
最近はお互い時間に余裕ないから
海人の誕生日以来いざってはないんやけど、
あの日…、心もカラダも満たされすぎたおかげで
海人の言うとおりそれでも全然、よくて。
時間合えば一緒に風呂入って
…時々、ヌキ合ったり
今日あったことやら話しつつ
風呂上がりに軽く、飲んで。
アルコールで程よく火照ったカラダで
抱き合って眠るだけで満たされる。
そんな、幸せな日々。