第8章 【僕の覚悟、キミの覚悟】
「ふーーん、えっちやな、海人。」
「えっ…何でそうなるの?!」
「笑!欽ちゃんやん苦笑」
「違うし!笑 普通に何で?って思ったから…」
「恥ずいっちゅーことはさ、想像しちゃってんのよ。
俺との、そーいうの。」
「え?そんなこと、ない…と、思う!」
「いやいやいや!そんなことあんのよ!」
「そうなの?!」
「じゃあさ、お前…
初めての彼女とのときのこと、思い出してみ?
ヤる前が一番、考えとったやろ?」
「…それは、そうかも。」
「やろ?…てことはよ?
俺とヤッてみたら照れんと観れると思うんよ。」
「そーなの?!?笑」
「やから…どう?」
「…どう?」
「荒療治かもしらんけど、どう?」
「…えっ、どうって…どう?!?」
そんな混乱したオレの視界に影を落として
口吻けてきて―――…。
「コレで、俺のキスシーンは観れるやろ!笑」
そう言って舌をペロっと出して
突然のことにびっくりし過ぎて目を見開いたままの
オレを見ながら、悪戯に笑う廉。
「今日は外やし、ここまでやけど。
海人が照れんと観れるようになるまで
何十回と付き合ってもらうから覚悟しとってな?
じゃ、お先!」
そう、言い残して鼻歌を歌いながら個室を出ていく
廉の背中を見ながら
夢か、現実かわからないさっきのシーンが
エンドレスで繰り返される。
先行きが不安なような
どこかでうっすら、期待しちゃってるような…
そんなことをぐるぐる考えてたら
タクシーの車内から送信されたであろう
廉からのメッセージが届く。
“明後日、俺ん家で1話の試聴会やるからな。”
“逃げんなよ笑”
そのメッセージには流れ行く景色の中の
東京タワーの写真が添付されてて。
相棒たるもの、オレも覚悟を決めるべきなの…?
そんなことを思った夜半の春。
🩶Fin💛