第3章 【交錯する想い】
友だちとだけ気兼ねなく過ごす時間も
オレたちにとってかけがえのない必要な時間だって
そんなことはオレもわかってるし…
オレもそれがわかってるから
廉の友だちに感謝しているのは本当の気持ち。
けどさ、もうちょい
言い方ってあるじゃん?
ってオレは、思うわけ。
おまけに廉はオレが言わないと
合鍵もくれなかったし、
オレ専用のスリッパだって置いてくんなくて!
廉が彼女と別れた日はあんまりかなって…
あの日持ち込んだスリッパの出番はなくて。
そのまま、、
使い捨てスリッパを渡される日々が続いて
シビレを切らしたオレがある日、
自分と廉のオソロイ…っていうか、
キャラ違いのスリッパを再び持ち込んだわけ。
すっごい悩んで選んだ
ハンターハンターのかわいいやつ。
オレはさ、前からなーんか
廉とキルアって似てるなぁって思ってたの。
カリスマ性っていうのかな。
だから、廉にはキルアの。
オレにはカルトのスリッパ選んで。
オレは、元々カルトが好きだしさ。
カルトっていうのはキルアの弟なんだけど、
キルアのことが大好きで
尊敬(ていうか崇拝)してて。
そういう関係性も好きだったから選んだの。
なのに廉、
全然キルアスリッパ履いてくんないし…!
そんなことを思ってたらシャワーを終えた廉が
「海人ー、腹減ったー。」なんて、
何ごともなかったかのように戻ってきて。
ソファーに座ってたオレの隣に腰を下ろしては
オレの太腿にコテン、と頭を預けてくるから
ドライヤーで仄かに熱を帯びた廉の髪を
ふわり、と撫でてやると
ネコみたいに髪の毛を擦り付けて
甘えてくる廉はさすがに可愛すぎでしょ…。
「…何かリクエストある?」
「ん…海人が作ってくれるやつなら何でも。」
「それが一番困るんだって苦笑」
「んー…、ハンバーグ。」
「了解! じゃあ買い物行かないとだ。」
「じゃあ、、いらん。」
「なんでよ笑 食べたいんでしょ?」
「それより、海人とおりたい…。」
はいはい! オレの完敗!!笑
こんなふうに濡れた視線を絡ませながら
甘い言葉を言ってくる廉には
どーしたって敵わないんだから!苦笑
心の中で完敗宣言したオレを見透かした廉が
“んっ”て顎を上げてくるのは
そういう、合図―――…。