第26章 【重課金カップル】
「ハズいからあんま何回も言わせんといてよ…」
そう可愛く訴える廉の腕には
失くした替わりに着けられていた
代打のブレスレットさえも外されていた。
廉のこの行動に隠された意味は
“乱暴に抱いてほしい”
オレと廉は普段から相手が嫌な気持ちになるような
ことはしないように気をつけて過ごしているし、
その延長線で基本的には想い合うセックスをする。
見つめ合って、幸せを感じ合える
優しさに満ちた愛の交換儀礼のような。
だけど、ときどき…オレも廉も
優しいだけの行為じゃ満たされないときがあって。
でも、そのタイミングが同じとは限らないから
ちゃんと、気付いてすれ違いを減らせるように
オレたちにはそれぞれが決めた合図がある。
廉からのサインは…ブレスレットを外すこと。
そんな廉の想いに応えるように
手首を強めに押さえつけて組み敷く。
このときに限っては
少しだけ、痕をつけることも許されてるから
廉の綺麗なカラダに時折甘く歯を立てて。
自分しか知らない廉のだらしのない顔にも
オレが這わせた舌に体を震わせて啼く声にも
廉の全てに劣情を掻き立てられて
時間も欲も散々に溶かし合った…。
***
「なぁ……海人って、アホなん?
ほんまに夜通しするとは思わんやん…」
海人に早く休んでもらいたくて仕込んだ甲斐なく
結局…、俺らは散々ヤりまくった。
イッた勢いに任せて寝落ちちゃったあと
少しだけ眠ったかと思えば、
微睡みのなかまた…求め合って。
それを数回繰り返して
いま、一緒に風呂で清め中…苦笑
「アホじゃないし!廉のことが好きなだけだし!」
「もー!今日のジャック中、海人絶対眠なって
後でマネからニヤニヤされるやつやん…!」
「大丈夫だって!!
オレいま廉のおかげでめっちゃ元気だから!」
「はぁーーー…そうですか」
「あ、そだ。廉、今日は仕事午後からでしょ?
全部は観なくていいけどラヴィットだけ観てよ!
結構オレの出尺長いから!」
とかなんとか、ツヤツヤの笑顔で
元気にうちを出たのが4時間前。
で、律儀に言うこと聞いて
いまラヴィット観とんのが俺。
ほーん…
綺麗にセットしてもらっとるやん。
……ジェノベーゼ?
シャレたの作るやん、海人が懐いとる倫也さんは。