第23章 【不自由な僕たちは】
「僕も、おうちデートのときは
れんって…呼びます。」
そんなオレの言葉に満足そうに目を細めた廉が
チーズケーキを食べさせてもらおうと
あーーん、と口を開けてくる。
形の整った唇が
その奥に綺麗に並んだ歯列が
さらに奥に眠るピンク色の薄い舌が
まるで、オレを誘ってるようで―――
さっきの興奮もまだ収まりきってなかったせいか
ムラムラと変な気分になっちゃったオレは
さっきの続きをもっと、味わいたくなって…
「れん…」触れ合う直前、
愛おしむように名前が呼ばれて
そっと、唇が重なる。
やっと、呼んでくれた―――。
そんな髙橋くんに
一瞬、驚いて目を見開いた俺だったけど
再び瞳を閉じて受け入れる。
休日もキミに逢えるようになって、
場所限定で名前を呼び合ったり
催促からのキスやなくて
感情の昂りからのキスになるまで
高校生活の半分を使っちゃたけど…
けど、髙橋くんとやったらどんな回り道も
きっと、愛おしくて。
オトナからしたら
しょーもないことで悩んでんのかも知らんけど
今しか味わえんことを一緒に乗り越えながら
これからも特別を増やしていきたいなって
そう思っとるくらいには
キミが、好き。
💛Fin🩶