第23章 【不自由な僕たちは】
高2の夏、
髙橋くんが俺の額におずおずと口吻けた
あの日から俺たちの関係が変わった。
やっと、髙橋くんが覚悟決めてくれて
一緒に歩むことになって。
なったはず。
……やったのに、、。
や、確かにあのとき髙橋くんは言うたよ?
恋愛初めてやし、下手くそやと思うって。
けど、これは…
下手くそとかの問題やないと思う苦笑
ここまで関係値がほぼほぼ変わらんのは
髙橋くんがそれを拒んどるとしか思えんくて。
相変わらず俺は永瀬くん呼びやし、
髙橋くん呼びをお願いされとって。
「なぁ、そろそろ海人って呼ばせてや。」
いつもの水曜の放課後、
数学を教えてもらいながら言うてみる。
「ま、まだ恥ずかしいから…そのうちね!」
「そのうちそのうちって…、
髙橋くんのタイミング待っとったら
卒業してしまいそうなんやけどーー!」
「でもごめん、ちょっとまだ…
そもそも!一軍の永瀬くんが三軍のオレを
海人って呼ぶの…変だし!」
あ、こないだまで2.5軍や言うとったのに
降格しとる苦笑
相変わらず変な拘りがある髙橋くん。
「じゃあ、ちゅーしてくれたら
もうちょい、待ったる。」
「……もぅ、」
きょろきょろと教室を見渡して
誰もいないこととドアが閉まってることを確認した
髙橋くんがちゅ、と控えめに
ほっぺに口吻けてくる。
すぐに離れた唇に
「…これじゃ待てんなぁ笑」って不満を零すと
「もぉ…」
なんて言いながら控えめに…唇を重ねてくるから
角度を変えて、
髙橋くんの舌を迎えに行こうとすると――、
「ス!!ストーーっプ!!」とか言いながら
俺の肩を押して距離をとってくる。
毎回これよ笑
なんなん、この髙橋ストップ…苦笑
***
「おはよー!ってめずらし笑
木曜なのに永瀬、元気ないじゃんw
昨日、勉強会流れたとか?」
「勉強会はやったんやけどなぁ…」
黒木は半年前、俺に告ってきたコなんやけど、
何の因果か俺と髙橋くんのことを唯一知っとるコで
ちょいちょい、話を聞いてくれたりする。
「…なぁ、黒木ってさ、好きなヤツとキスしたら
その次、したなる?」
「永瀬、ハラスメント天国なご時世に
まぁまぁ最低な質問してるよ笑」
「だってこんなん聞けんの
黒木しかおらんやんかぁ…!」