第18章 【やっと、捕まえた】
「しょぉ!見てみて!」
コイツはかわいい俺の弟。
弟じゃないけど、ホントの弟より可愛いがってる…
と思う。
あらゆるものから守りたくなっちゃうし、
うまいもん食わせてやりたくなっちゃうし、
何でも買ってあげたくなっちゃうし。
じんとか廉からは甘やかしすぎって怒られるけど
岸くんはわかってくれる。
「わかるっ!!!わかるよ紫耀っ!!!
海人かわいいもんなっっ!!!
俺はおごってやりたくはなんないけど、
気持ちはめちゃくちゃわかるわ!!!!」
「それは岸くんがケチ君だからでしょ笑」
「『生涯現役』」
「ねぇ、東山さんのモノマネの無駄遣いしないで笑」
そんな俺たちのやりとりを隣で笑いながら聞いてる
海人はメンバーといるといっつもニコニコだし、
話すときこのきゅるんきゅるんの顔で
目を合わせながら話しかけてくるから
めちゃくちゃ嬉しい。
正直何言ってんのかわかんないときもあるけど
それでも全然問題なくて。
だって、めちゃくちゃかわいいから!!
だけど、
だからこそ心配でもあって…
「海人さ、誰が相手でもそんなふうに
目を見て話すの?」
「うん、そうしたいなとは思ってるよ?
ママもそう言ってたし。」
「かわよ笑 でもさ、いろんな人いるから
気をつけてね?お菓子あげるって言われても
ついて行っちゃダメだよ?」
「もーー!紫耀が子ども扱いするぅーー!」
その日の撮影はなんでか海人はNGばっか食らって
居残りになって。
「みんな、オレのせいで押しちゃって…
迷惑かけてごめんね?」
うちのメンバーはみんな優しいから気にすんな
なんて口々に海人に声をかけるんだけど
こういうときって優しくされればされるほど
泣いちゃいそうになったりするよな…。
案の定海人は今にも泣きそうだったけど、
メイクが崩れるからって必死に我慢してて。
そんな海人も健気でたまんなくて
「そんなときもあるって、海人!
俺なんかさー…」
自分の過去の失敗談を笑い話にして話したら
「そっそんなに優しくしないでよぉ…」
なんて、
それはそれで海人を、泣かせてしまった。
そんなつもりなかったのに…反省。
*
家に帰ったものの、なんか嫌な予感がして
海人にラインする。
だけど、既読にならなくて。