第20章 蒼炎乱舞※死柄木②
人影の全く無い港の倉庫に、ホークスは1人で現れた。
倉庫内に響くホークスの足音が、その緊張感を高めた。
しかし、目の前に現れた荼毘は余裕そうに笑みを浮かべている。
ヴィランとヒーロー。
本来なら相対する2人が向き合うのであれば、この程度の緊張感で済むはずが無かった。
「…脳無の性能テストをやるから、適当なヒーローを見繕ってくれ。」
個性の能力、経験値で言ったら、ホークスの方が格段に上だろう。
なのに、命令を下すのは荼毘の方だった。
それは、公安から仕事を振られて必死で掴んだ、一つだけの道だったからだ。
世の中の平穏なために、どんな事をしてもヴィラン連合の懐に入る。
それはホークスが掲げたヒーローとしての矜持だった。
「……いい加減、俺を認めて欲しいな。」
その作戦の為に、ベストジーニストの死体を捧げたのだ。
それでも心を開かない荼毘に、ホークスの目は歪んだ。