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約束の景色

第69章 新年


帰り道、谷地ちゃんと並んで歩く。
今日はカラッと晴れてるけど北風が冷たくて、マフラーに顔をうずめた。
「一ノ瀬ちゃん覚えてる?
出会った頃、一緒にバレー部の寄付金集めのポスター作ったこと」
「もちろん!」
忘れるはずない。
初対面だったのにすごいことお願いさせてもらった。
「一ノ瀬ちゃんたちビックリするほど真剣で・・・
あまりに一生懸命頼むから、自信はなかったけど・・・つい勢いでOKしちゃってた」
「圧すごかったよね?ごめん・・・」
思い出したのか谷地ちゃんがフフッと笑う。

「最初はどうしよう?って不安だったけど、3人で案出し合ったりしてたら楽しくなってたんだ。
”誰かと一緒に1つのもの作り上げる”っていうのがこんなに楽しいんだって。
出来上がった作品見てさ”凄い!”って言ってくれたよね?
自分が作ったもの見て一ノ瀬ちゃんとかはなちゃんとか、バレー部の人たちがこんなに喜んでくれてるって・・・すごく嬉しかったな。
”私にだってやれるんだ!”って。
いつも脇役で・・・村人Bだった私が、凄い村人Bになった瞬間だった!」
谷地ちゃんが立ち止まってこっちを見る。

「一ノ瀬ちゃん!本当にありがとう。出会えて本当に良かった。
私も一ノ瀬ちゃんみたいな人になりたいなって憧れる・・・前に進み続けるその姿に。
私の出来る事で一ノ瀬ちゃんの力になりたいんだ!
だからこれからもバンバン頼ってね?村人Bの私でも一緒に戦えます!」

そう言ったあとに満面の笑みを見せた
力強い言葉を聞いて胸が熱くなる・・・
なんて頼もしい存在なんだろう。
「(私の事をそんな風に見てくれてたなんて・・・)」
何も分からない私を力強く引っ張っていった谷地ちゃんこそ、凄い人だってずっと思ってたのに。
「私も・・・ずっと谷地ちゃんみたいになりたいって憧れてる!」
「本当に!?」
「うん!」

先輩たちが立ったあの舞台へ、私たちもついに飛び立つ。
笑われても良い。不格好でも構わない。
周りからどう思われるかなんて関係ない!
強い相手がたくさん待ってるけど・・・迷いも不安もかなぐり捨てて、いま全員でスタートラインに立つ。
挑んだ先に歓喜の雄叫びを響かせるんだ!
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