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約束の景色

第69章 新年


「みなちゃん、これじゃあ東京はダメだね」
「・・・」
久しぶりに熱を出した。
今日は春高に向けて東京へ出発する日
バスの出発時間までもう時間がない。
「(行く・・・待ち合わせの時間もうすぐだから)」
声に出そうとしてもうまく言葉にならなくて、ぼんやりとおばあちゃんの顔を見つめた。
「しょうがないよ・・・。今回は一緒にテレビから応援しよ?」
優しく頭を撫でられる。
悔しくて涙があふれてきた。
「(ヤダ!私もみんなと東京行く!)」
おばあちゃんがそっと立ち上がる
多分学校に連絡を入れにいったのかもしれない。
「(あぁ・・・私なにやってるんだろう。どうにかして熱下げないと)」
薄れゆく意識の中でそんなことを考えてた・・・


「ニャーニャー」
頭の上で鳴き声が聞こえる。フニャっと柔らいものが顔に当たった。
「(ん・・?)」
うっすら目を開ければ目の前に政宗の顔。
「ニャー」
しきりに鳴いている。いつの間に部屋に入ってきてたんだろう?
スマホを確認すれば1月1日の朝7時
「夢かぁ・・・・よかった」

着替えて居間に向かう。
「お!起きたか」
「おはよう」
二人がこっちを見た。
「「明けましておめでとうございます」」
「明けましておめでとうございます」
挨拶をして急いでこたつに入る。廊下さむくてちょっとの移動なのに足先が冷たい。
「政宗に起こされたよ。いつの間にうちに来たんだろう?」
「新年のあいさつに来たんじゃないか?」
テレビには晴れ着姿の芸能人がたくさん映っていた。お正月のムードが一気に漂う。
「いよいよ春高が始まるね。あったかくして東京行くんだよ?」
「うん。緊張してきた・・・」
朝からあんな夢を見たからちょっと怖いけど、体調崩さないように気を付ける!
「チビスケたちにしっかり喝入れて勝てよ!」
「うん」
「私たちもここから応援してるからね」
開催期間中は、はなちゃんたちがうちに来てみんなで応援してくれる。心強い応援団だ。
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