第37章 春高一次予選 角川学園
「よし!片付けてバスに移動するぞ!」
大地先輩の声でみんなが立ち上がった。
みんなが移動した後で潔子先輩と忘れ物がないか最終確認。
「あ!」
隅っこのほうに可愛い包みにくるまれたお弁当箱が残されていた。
「(うちの誰かかな?)」
大事に抱え込む。
「みなちゃん、そっち大丈夫そう?」
「はい!」
じゃあ戻ろうか、と言った潔子先輩の前に怖そうな人たち。
「なになに?めちゃくちゃ綺麗な子いるじゃん。どこのマネージャー?」
ゆっくりと潔子先輩に近づいてくる。
腕を掴もうとしていたのでとっさに潔子先輩とその人の間に入った
「私たち忘れ物の確認してるだけですから!」
田中先輩も西谷先輩もいない・・・怖いけど私が先輩を守らなきゃ!
「えー、こっちの子は可愛い系?最高じゃん」
腕を掴まれる。
「こういう子たちがベンチいてくれるだけでやる気出るよな。ニコニコしてくれるだけでいいべや」
「わ、私たちだって戦えます!」
日向くんたちは私も一緒に戦ってる仲間だって言ってくれた。
マネージャーはお飾りじゃない!
「はぁ?」
何言ってるの?って顔で見られたあと、思い切り笑われる。
「頼もしい〜!”私たちだって戦えます"とか可愛い過ぎでしょ」
からかわれてるの分かる・・・なんか悔しい。
「番号交換しよ?」
大きな男の人たちに囲まれた。どうしよう、怖い・・・
「一ノ瀬!清水先輩!」
日向くんが飛び出してきた。
「こ、この人たちうちのマネージャーさんなんで!失礼します!」
自分の背中で隠すように私たちを移動させてくれた。
「よかったぁ・・・。怖そうな人たちだったからビックリしたよ」
「日向、助けてくれてありがとう」
潔子先輩がお礼を言うと日向くんは顔を赤くした。
「それにみなちゃんも。助けてくれてありがとう。カッコよかった」
「あっ!?それ俺の弁当箱!」
大事に抱えた包みを見つけて、日向くんが慌てる。
「え?可愛い包みだなって思ったんだけど日向くんのだったの?」
「い、妹のだよ!今日はそれしかなかったんだ」
みんなには内緒ね!と更に顔を赤くする。
顔を真っ赤にする日向くんがなんか可愛くて潔子先輩と笑ってしまった。