第37章 春高一次予選　角川学園

次の対戦相手は2mの選手がいる角川学園
こことの試合に勝てば一次予選突破が決まる！

角川学園の選手が横を通り過ぎる。2mってやっぱりすごい。
「でけぇな・・・」
「おれフジクジラと合体したい・・・」
「フジクジラ？」
遠い目をした日向くんの口から知らない単語が飛び出してくる。
「サメの一種」
「へぇ～月島くんって物知りだね！」
「体長40cmなんだって。それと合体したらおれ2mになれるんだ」
「あっ！じゃあ私もだ！」
「おぉ？それなら俺もだな！」
横にいた西谷先輩がグイっと身を乗り出す。
「2mが3人もいるチームってすげーな！」
「確かに！」
「ねぇ・・・ここに小学生混ざってるんですけど？」
「プッ！ツッキーやめてよ」
はしゃぐ私たちを見て月島くんが呆れた。

2階で優くんたちと合流すると・・・
「みなー！」
「応援きたよ！」
「二人とも来てくれたの・・・？ありがとー！」
駆け寄って飛びつく。
はなちゃん、谷地ちゃんも応援に駆けつけてくれた！
今日は嬉しい援軍がたくさんで本当に心強い。
優くんたちが「こんにちはー」と元気に挨拶する。
「烏野、勝ったんだね！」
「うん！これから次の試合始まるよ！」
「私たちも応援がんばる！」
下から聞こえてくる大地先輩の掛け声に合わせて、２階の私たちも
「ウェイ！」と大きな声を出す


「相手に大きな選手いるね・・・」
「２mだって」
「「２m！？」」
そんな大きな選手にどうやって勝つの？と慌てるはなちゃんたちを見て烏養監督が笑った。
「絶対勝てない勝負は無ぇし、絶対勝てる勝負も無ぇよ」
角川学園9番の百沢くんに対して烏野はブロック３枚ついた。
「ブロックの上から・・・」
ヒィィ・・・と悲鳴出る。
こういう場合はどうやって戦っていくんだろう。

「烏野、手も足も出ないって感じだな？」
周りで見ている他高の生徒からそんな声が聞こえてくる。
「真っ向勝負で勝てないなら、他のやり方で戦えばいい」
百沢くんの打ったボールを西谷先輩が上げた。
「すごいね！あの人リベロってやつでしょ？」
それを日向くんが決める。
「２m相手にすごいな」
「翔ちゃんはこんなもんじゃないよ！もっとすごい技使えるんだから！」
優くんが自慢気に胸を張る。
そうだ。今の日向くんたちにはとっておきの技がある！
「烏野はこっからだよ！二人ともよそ見しないでね」