【呪術廻戦】あなたに殺された私は呪術師として生まれ変わる
第15章 一陽来復を願う(外伝・伏黒恵視点)
道なき道を必死に走り抜けながらも、本当にこれでいいのか俺はずっと迷っていた。
反転術式ができるのは高度な呪力操作ができる証拠だ。
さんの強さは疑いようがない。
だけど、あの強大な呪霊はきっとさんよりも強い。
失踪したという二級術師はきっとあの呪霊にやられて、帰らぬ人となったのだろう。
さんはあの呪霊からは逃げられないと察して、俺だけでも逃がそうとしてくれたのでは?
本当にあのままさんを残していっていいのか?
迷う中、思い浮かんだのは五条さんだった。
『僕の方の任務が終わったら恵を迎えに来るよ。その後、も一緒に三人でご飯にでも行かない?』
任務に向かう間際、そう言って誘っていた五条さんはさんから承諾を貰えてご機嫌だった。
きっと任務を速攻で終わらせて、こちらに来るはずだ。
立ち止まって、影絵を作るために手を組む。
「“玉犬”」
白と黒を出現させて、それぞれに指示を出す。
「白、補助監督のところへ行って、五条さんが来たらこっちに連れてくるんだ。黒、俺と一緒にさんのところへ戻るぞ」
玉犬だけが戻ってきたとなれば、五条さんなら異常事態だと察知してくれるはずだ。
俺が補助監督のところに戻らなくても、それで事足りる。
正直、あの呪霊のもとへ戻るのは怖くて堪らない。
けれど、とにかくさんをあのまま一人にさせてはならないと、黒を連れて走り出した。