【呪術廻戦】あなたに殺された私は呪術師として生まれ変わる
第2章 ②
「私はです。五条さん、よろしくお願いします」
私は夏油ではなく、母親の旧姓を名乗った。
呪術界の上層部からの指示で、私が夏油傑の姉であることは伏せている。
呪詛師となった男の血縁者として知れ渡れば、周囲から反感を買ってしまう恐れがあるからだ。
「にしても、転入生が来るなんて初耳。事前に分かってれば歓迎会の準備したのに」
「どうするかな…」と考えながら歩き出した彼に続いて私も横並びに歩き出す。
校舎までの道をたわいもない話をしながら一緒に歩いた。
こうして“悟”くんの隣にいるのは傑だったはずなのに。
楽しげに話す彼の横顔に、私は平然を装いながらも居た堪れない気持ちでいっぱいだった。
『最近よく“悟”くんの話するよね』
『ん?そうかい?』
『そうだよ。傑が今までそんなに友達の話をすることなかったから。楽しそうでなによりだよ』
『まぁ、たしかに悟といると楽しいよ。今まで私と対等にやれる奴なんて周りにいなかったからね』
『ふたりは最強なんでしょ?すごいなぁ…いつかその“悟”くんと傑が一緒にいるところ見てみたい』
『それなら、今度こっちに帰ってくる時にでも悟も遊びに来ないか誘ってみるよ』
『え?いいの?』
『あぁ、いいさ。親友になら、私の大切な姉に会わせるのも悪くない』
『ありがとう。傑の親友に会えるの楽しみにしてるね』