【呪術廻戦】あなたに殺された私は呪術師として生まれ変わる
第7章 ⑦
「知ってました。あなたが傑の親友だって」
私はこれまで言えなかった彼に対する胸の内を話すことにした。
「僕のこと、傑がそう言ってたの?」
「はい。傑はいつもあなたの話を楽しそうに話してくれました。高専であなたと過ごす日常のことや、任務での武勇伝も…親友のあなたと二人で最強であることが、傑の誇りだったんだと思います」
傑から話を聞いていたとおり、私が高専に入学して初めて会った弟の親友は、やんちゃな面もあるけど最強の名に相応しい強く頼りになる人で、術師を志す私のことも気にかけて助けてくれる優しい人だった。
「名前で呼んでほしいとずっと言ってくれてましたね」
彼がそう言ってくれた時、本当は嬉しかった。
「でも、どうしても私には呼ぶことができませんでした。傑からよく聞いていたあなたの名前を呼んでしまったら、タガが外れてしまいそうで…本当はずっとあなたにすべてを話したかった」
傑が彼のことを親友だと言っていたのも頷けるくらい、私も五条悟という人に心惹かれていたから。
できることなら、傑と彼が二人でこの呪術界を担っていく輝かしい未来をこの目で見てみたかった。
けれど、それはもう叶うことはない。
「“悟”くん」
初めて彼の名前を呼んだ。
傑が呼んでいた親友の名前を。
「私から、傑の姉としてのお願いです」
私が彼にできるのは、弟の血で染まるであろう彼の手に自分の手を添えるような思いを込めて、後戻りできないこの運命を託すことだけだ。
「傑をあなたの手で止めてほしい」
ねぇ、傑。
“悟”くんに止めてもらえるなら、あなたの良心もきっと救われるよね。