【呪術廻戦】あなたに殺された私は呪術師として生まれ変わる
第7章 ⑦
12月24日。
クリスマスイブで世間が賑わう中、東北の地で私は人知れずにひっそりと任務を遂行する。
そんないつもと変わらない術師としての日常を過ごすのだろうと思っていた。
「こっちで厄介なことが起きてる」
五条さんからのその電話で運命がまた廻り始めた。
「ある呪詛師が高専側に百鬼夜行を行うと宣戦布告してきた。今日の日没、その呪詛師は呪霊操術で新宿・京都に千の呪霊を放ち、仲間の呪詛師らと共に鏖殺を企てている」
電話越しに五条さんから告げられたその事態に私の心臓の鼓動が大きく音を立てた。
呪霊操術を持つ呪詛師を私はただひとりしか知らない。
「僕ら高専側はOB、OG、御三家、呪術連も含め、総力戦で百鬼夜行を阻止する」
五条さんが話を続ける間、脳裏に思い浮かぶその姿に心臓の鼓動が煩いくらい大きく音を立て続ける。
かつて非術師のために自分の力はあるのだと言って私を守ってくれた、私の優しい弟。
「その呪詛師はかつて僕と肩を並べた特級術師で…、オマエの弟の夏油傑だ」
夏油傑の名前と共に“弟”と言われて、煩かった心臓の音も聞こえなくなるほど思考回路が完全に止まった。
「どうしてそのことを…」
やっと口から出てきた私の声は隠し事を暴かれたことによる動揺で微かに震えていた。
「ついさっき学長から聞いた。非術師だったが夏油に殺されかけたことも、上の連中に夏油の姉であることを伏せられていたことも」
五条さんが何を思ってそれを私に伝えてきたのか。
電話越しのため、彼の表情は見ることができずに不安に駆られた。
「自分を手にかけた弟のこと、恨んでる?」
けれど、そう私に問いかける五条さんの声はいつもどおり優しかった。
傑の姉である私を責めたいわけではなく、きっと私の気持ちに寄り添おうとしてくれているのだろう。
私は落ち着きを取り戻して、傑に手をかけられた日からこれまでのことを思い返した。
「恨んでなんかいません。むしろ恨めしかったのは…傑がそんなにまで追い詰められていたのも知らずに、傑が守ってくれていた平穏の中でのうのうと生きていた自分自身でした」