第2章 かっこいいですよ
「ぼんさん、かっこいいですよ」
「……え?」
撮影中、おんりーがさり気なく言った言葉だ。
どんなタイミングで言っていたんだったか。はっきりと覚えていないくらいに、本当にさり気なかったんだ。
撮影後に、あれはどういうことだったんだ? と聞いても、ハテナを返されるばかりで。この後時間ある? と二人で雑談する時間を作ってもらった。
「それでさ、さっきの話なんだけど」
「何か言いましたっけ」
俺がそう切り出すと、やっぱ何も心当たりがなさそうなおんりー。ここまで分からないフリをされると、こんなことを聞く俺が余計恥ずかしくなってきた。
「……いや、やっぱなんでもない」
大したことはないんだ。俺はそう言い聞かせて話を終わらせようとした。だけど、おんりーはそうはいかなかったらしい。
「そこまで言われたら、気になるじゃないですか」
それもそう。わざわざ二人きりの通話に入って、やっぱなんでもないは俺が逆の立場だったら気になる。