第5章 番外編:彼氏(仮)
これはバレー部にまだ入部していない時の話─────
やっぱり病院嫌いだわ。待ち時間長すぎだろ。
学校終わって直行して来たのに、もう日暮れてるし最悪。
気分転換にご飯でも食べて帰ろ…
1人で飲食店を探して当たり見回す。
んー、麺だな…今は麺の気分
ラーメン屋に向かっていると、後ろから誰かに声をかけられる
「君、今暇?」
『……』
「あれ〜?無視」
見るからに高校生じゃないし、身体付きがダメダメ。見るからにヒョロヒョロ。スポーツ絶対してない。顔も良くない、体格も良くない、全てダメ。きもすぎだろコイツ。
「暇そうだし俺に付き合ってよ」
無視をしているとキモイ男に腕を強く掴まれた。
振りほどいても、すぐにまた掴まれる。
『離して』
「あ、やっと話してくれた!俺と遊んでくれたら離してあげるよ」
いや、お前と遊ぶとかごめんなんだけど。コイツぶん殴ってやろうかな。よくその顔面で言えるな。
我慢の限界に達しかけた時、後ろからまた知らない人の声が聞こえてきた。振り返って見てみると高身長の爽やかイケメンと高身長の眉なしの2人に、2人に比べたら背の低い人が居た。
「必死かよ」
「ちょいちょい!やめなさい!」
「君の知り合い?もしかして、彼氏とか?」
絶対彼氏じゃないって確信してんだろ。ニヤニヤ顔きも。
『正解。彼氏』
「は?」
思ってもいなかった返答をされたのか、腕を掴んでいた手が離れた。
その隙に後ろに居る3人組の1人に腕を絡めた
「え?え…!?俺…?」
『これから、デートだから早くどっか消えてくんない?邪魔なんだよね』
そう言うとクソキモ男は、舌打ちをしながら何処かへ去って行く。
やっと消えてくれた…
これでラーメン食べれる。お腹空いたぁ…
「あ、あの…!」
『あ、すみませんでした。いきなり腕絡めたり、彼氏とか言っちゃったりして。貴方のおかげで助かりました。』
「い、いや〜、お役に立てたならよかった!」
頭を下げ、ルンルン気分でラーメン屋に向かう。
頭を上げた際に見えたのは、部活ジャージで右側に"伊達工業 "と名前が目に入った。
ん〜、出会い方が違ったら誘ってたな。絶対。