第1章 純情恋物語編
にの江「お屋敷だってぇ!?」
驚いて思わず声を荒げてしまったあたしに、翔吾さんが言った
翔吾「ええ、あたしらがココに着いた時には、もうお智ちゃんの姿がなくて…
…で、雅吉兄さんがやつらをとっちめて聞き出したら、お智ちゃんの兄上だとか言う人が、お屋敷に連れ帰ったとかで…」
潤之助「若様が!?」
今度は潤之助さんが驚きの声を上げる
翔吾「へぇ。そんで、雅吉兄さんが、自分はそのお屋敷の前で張ってるから
お前ひとっ走りしてにの江と潤之助の旦那を呼んで来い、きっとヤツらの塒に来ているからと…」
翔吾さんはそう言うと、やっと体を起こした
翔吾「ご案内致しますさぁ、此方へ」
潤之助「……いや、案内は無用です翔吾殿。
貴殿の身に万が一の事があったら、拙者は、姫に顔向けが出来ません
翔吾殿は、にの江殿の宿屋で我らの帰りをお待ち下さい」
翔吾「Σんにゃっ!ししししかしソレではっ!!」
にの江「……連れて行ってあげましょうょ、潤之助さん」
あたしは両手を上げて泣きそうな顔をした翔吾さんの両手を下げさせた
潤之助「しかし、にの江殿…」
にの江「確かに屁のつっぱりにもなりそになぃ若旦那だけどねぇ、お智ちゃんを想う気持ちは誰にも負けてない…
…そうだよねぇ、若旦那」
翔吾「Σへぇいっ!!////」
にの江「……(苦笑)」
あたしはまた派手に声を裏返す翔吾さんの背中をポンと叩いた
にの江「さぁ、行くよ!
お智ちゃんをボンクラ若様から取り返して、お智ちゃんに男を見せてやんな!」
翔吾「ひゃいっ!!!////」
泣いてるんだか笑ってるんだか解らない様な顔で返事をすると
翔吾さんは「さぁ、こっちで御座います」と言いながら、小走りに駆け出した
にの江「さぁ潤之助さん、参りましょう」
潤之助「………ボンクラ若様(笑)」
にの江「え?」
潤之助「いや、何でも御座らん。……参ろう」
潤之助さんはちょっと笑うと、早く早くと手招きをする翔吾さんの後に続いて歩き出した