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蜩(ヒグラシ)の宿─にの江大江戸人情帳─

第3章 養子騒動編


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雅吉「何はともあれ、一件落着ってぇやつだな!」



雅吉は、可愛い我が子を大事そうに抱いているお智ちゃんを、目を細めて眺めながらそう言うと立ち上がり

潤之助さんの方へ向き直った



雅吉「んじゃあな、潤之助の旦那!

今度ゆっくりウチの方に寄って、旅の詳しい土産話でも聞かせてくれや!」

潤之助「はい、その内に…」



潤之助さんは雅吉にゆっくりと頷いてみせると、あたしの方を見た



潤之助「…必ずや、寄らせて頂きます」

にの江「………」



潤之助さんの凛々しい眼差しに、改めてその無事を再確認して

安堵の笑みが込み上げる



(………ご無事で………本当に、よろしゅう御座いました………)



潤之助「………」



あたしの無言の呟きに応じるかの様に

潤之助さんがまたゆっくりと頷く


あたしをソレを見てから、若様に向き直り頭を下げた



にの江「……では、あたしらはコレにて失礼致します

お智ちゃん、恋太郎ちゃん、帰るよ」

お智「はい、にの江姉さん」

恋太郎「あーぃ、にぃーえ、ねぇたん!」

お智「では兄上様、わたくしはこれにて失礼致します」

若様「うむ!気を付けて帰るある!!」



あたしとお智ちゃんが、若様に挨拶して部屋を出ると、雅吉が未だ座ったままの大倉さんに声をかけた



雅吉「よぅ、行くぜぃ忠義のっ!」

大倉「は、はい、相葉さん」

恋太郎「いくじぇぃ、あーばたんっ!」

雅吉「んあぁ!?」

にの江「おやまぁ、恋太郎ちゃんったら、雅吉と大倉さんが言ったことが混ざっちまってるよ(笑)」

恋太郎「まじぇった!!」(←わざと?(笑))

お智「恋太郎ったら…///」

雅吉「あっはっはっはっ!愉快愉快っ!!」

大倉「あぁ〜っ!相葉さん待って下さいよっ!!(汗)」(←緊張していた所為で足が痺れて立てない(笑))









こうして

あたしたちは無事に、捕らわれていたお智ちゃん共々

大名家の下屋敷を後にした






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