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蜩(ヒグラシ)の宿─にの江大江戸人情帳─

第1章 純情恋物語編







翔吾「お智ちゃん!ごめん、待ったかぃ?///」


お智「ん~ん、私も今来たところです///」



私は、何時も待ち合わせているお寺の境内を、小走りに全力疾走した





吉祥天のお導きで(←笑)運命の出逢いを果たした私とお智ちゃんは

薬を渡すって言う名目ではあったモノの

毎日こうしてお寺の境内で逢瀬を繰り返していた



一目でお智ちゃんのその可憐な美しさの虜になった私だったけど

お智ちゃんのコトを知れば知るほど

益々惚れちまって…


もう、私の中では、妻を娶るなら、お智ちゃんしかいないってぇトコまで気持ちが固まっていた





翔吾「お智ちゃ……Σおわっ!!」


お智「Σきゃっ!!///」



焦る気持ちが先走り

小股の全力疾走が災いして、私は見事にお智ちゃんの目の前でスッ転んだ



お智「Σしょ、翔吾さん大丈夫っ!?///」


翔吾「いたたた……あ、いや、この位何でもなぃですょ(汗)」


お智「まぁ、大変!鼻緒が…」


翔吾「あ…(汗)」



コケた拍子に草履の鼻緒が豪快にぷっちん



(………おっかさんにまた叱られる(汗))(←笑)



お智「ちょっと待ってて?」



お智ちゃんはそう言うと、袂から手拭いを出して、ソレを口で裂くと器用に紙縒(こより)を作った



お智「私、こう言うのだけは得意なんです…ちょっと待ってて下さいましね?///」


翔吾「は、はぃ////」



器用に切れた鼻緒と紙縒を取り替え直すお智ちゃん


ふと

お智ちゃんの綺麗な手に眼が止まる



(相変わらず綺麗なお手だなぁ……まるで、お姫さんみたぃだ……いや、見たこたぁはなぃけども///)



本当に、お智ちゃんときたら、何もかもお姫さんみたいだった…見たことたぁなぃけども(←笑)


立ち居振る舞いから、丁寧な言葉遣いから、可憐な容姿に致るまで

本当に完璧なお姫さんのよう……だから、見たことたぁ、なぃけども(←しつこい(笑))




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