第19章 後期

【手紙】





梅雨明けが待たれるこの頃、

母子共にお加減はいかがですか。

初めまして悟の父、五条出流と申します。

長らく挨拶もなく大変申し訳ありませんでした。


この度は貴女にお願いがあり

急ぎ筆を取りました。


もう知っている事とは思いますが

悟は今の時点で、

貴女の元に戻る事が難しい状況のようです。

ですから悟に代わり、

我々の方でこれからの貴女の事を

幾つか提案させていただきます。



一、
出産直後に孫を五条家が預かり
それに伴い、
私ども五条家から貴女に謝礼をお渡しをし
お別れとする。


二、
人格形成に重要な３歳まで貴女に孫を育ててもらう。
その間に必要な養育費は五条家が全てを負担し、
引き渡しの際に五条家から謝礼をお渡しとする。


三、
孫の乳母として五条家で働きながら育てていただき
五条家が認めた＂母＂が決まり次第、乳母を終了とし
謝礼とお給金をお渡しする。


四、
正式な五条家の嫁になって頂き、
私達と共に孫を育てて頂く。



体調も不安定の中、

突然の提案で驚かれたことと思います。

お返事はゆっくりで構わないので

決まり次第、五条家使用人の＂星野＂に伝えて下さい。



事情があり今は逢えないけれど、

貴女と逢って言葉を交わせる日を

楽しみにしております。




どうかお身体に気を付けて。




五条出流