第133章 おかいもの
乙骨憂太
「あの、さん。
まだ話してなかったんだけど、
このお店がプロデゥースしたウェディングドレスを着て
僕と一緒に写真撮影をさせて欲しいって
さっき頼まれたんです。」
「え?私がウェディングドレスを??」
店員
「お客様がわたくしの店の新作の
ウェディングドレスにイメージがピッタリで、
ご両者とも是非、お願いをしたいのです。
お恥ずかしいですがこの店にとって
数年ぶりのウェディングドレスの発表そして
わたくしのドレス製作人生最後の
コンテストにも出品致しますの。
そのコンテストでは写真の提出と、
実際にモデルに着用してもらい
審査員にお披露目するやり方があります。
本当はどちらも参加したいのですが
そこまでお願いするのは申し訳ないので…
是非お願いできませんでしょうか。」
悲痛な気持ちが伝わってくる声色です。
乙骨憂太
「人生最後の…とは…」
店員
「…はい。
わたくしどものような下町の小さなドレス屋は
1着1着を丁寧にお作りしておりますが、
やはりお値段がお安いネットショッピングや
大型のファストショップ様などには
到底勝つことが出来ません。
良いものを長く…という考えは、
今の時代には似合わないのですわね。
だからせめて最後は
幸せなウェディングドレスを作り終わりにしようと
考えたのです。」
店員さん…いや店長さんが悲しそうに
そう言いました。