第111章 KIDNAPPING.
俺はとりあえず、
北の方角を探すことにした。
(サトウキビ畑ばっかだけど、
移動するなら道沿いじゃね?)
こっちは見つかる可能性が低いから
のんびり歩きながら周りを見ていると...
「ん?」
守
「おかあー!おかあーー!!」
(あの子供…)
白髪で銀梅眼の父親より
少し柔らかめ?なフェイスをした守くんが
キジムナーの石像が並ぶ横で
焼きとうもろこしを抱いて
真っ暗の中、腹貸し家をさがしていた。
「守くん。1人でこんな場所にいたら
皆んな心配するよ。戻ろう。」
声をかけると守くんが俺の方を見た。
守
「おかあー おきたらいなくて...
おなか すいてる! あかちゃんいるから!」
(ん?泣きそう?)
泣いてはいないけど、
瞳は潤っている。
彼なりに母親が心配なのだろう。
「いま、皆んなで捜してるから大丈夫見つかるよ。
だからお兄ちゃんと帰ろう。」
俺は守くんに手を差し出す。
守
「…うん…」
(聞き分け良いな。育て方が良いんだろうな。)
当然納得していないようだが、
こちらの提案を聞き入れてくれたことは
年齢よりしっかりしているなという印象。
(守くんの妹との護衛か……)
少しずつ俺の考え方が変わっていくのを感じる。