第103章 宿儺の娘
梅
「お母様...今夜も月光が眩しいですよ。」
思い出の場所とは、
お母様と一緒に耕し様々な野菜を育てた畑です。
母はこの畑をとても気に入っていました。
気に入り過ぎて、
真夜中にまで畑に赴いていた事を私は知っています。
(月光が綺麗だものね...ずっと見ていられたわよね。)
しばらく、
荷台に腰を預け
物言わぬ母と月を眺めながらお話をし
いよいよ...埋葬先に向かいました。
埋葬先は逢ったことがないお父様とお母様が、
よく密会をしていたという山の麓です。
梅
「素敵な恋をしていたのね。
本当の好き者同士でなければ、
こんな寂しい場所で密会なんてしないわ...」